山梨県富士河口湖町における少グループの野生ニホンザルによる人身被害の発生事例(II)

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タイトル別名
  • Case of damages on human by a small wild group of Japanese macaques in Fujikawaguchikoto Town, Yamanashi Prefecture, Japan (II)

抄録

<p>前大会では,2019年10月~11月に,山梨県南都留郡富士河口湖町において,オトナメス1個体,ワカモノオス1個体,性別不明のコドモ1個体の計3個体で構成される野生ニホンザル「船津グループ」が人身被害を発生させ,そのうちのオトナメス1個体が同年11月20日に捕獲されると,その後に人身被害が発生しなくなったことを報告した。今回は,その後のモニタリング調査の結果を報告する。同町役場への聞き取りおよび現地調査の結果,オトナメス捕獲以降に,人身被害が発生していない状態が続いていた。 また「船津グループ」と,その母群と推測していた「吉田群」の行動圏内において,3個体以上のニホンザルの集団の存在が確認できなかった。「吉田群」の行動県内に設置された大型囲い罠だけでも,2017年度~2019年度に,39個体のニホンザルが捕殺されている。 このことから,2006年10月には77個体確認された「吉田群」は消滅し,「船津グループ」は個体数が減少した「吉田群」の生き残り,もしくは離散した群れの一部であったと推測する。前報告の結果とも勘案すると,捕獲が人身被害の発生および終息のきっかけになっている可能性が高く,被害発生のメカニズムを解明するためには,被害と群れの動態との関係を明らかにすることが重要と考える。さらに,「船津グループ」の目撃情報があり,市街地に位置するホテルの廃屋内に,2019年11月18日にセンサーカメラ 2 機を設置した。その結果,2021年3月31日までの486日間のうち14日間(3%)でニホンザルが撮影され,2020年11月は5日間(17%)ととくに多かった。雌雄年齢が判別された個体は,ワカモノメス1個体のみで,2個体以上のニホンザルが同時に撮影されることはなく,夜間にも撮影されていた。市街地を泊まり場にする個体は,人身・生活被害を発生させるリスクが高いため,被害終息後も,モニタリング調査と捕獲の努力を継続することが重要であると考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390852414468683648
  • NII論文ID
    130008091096
  • DOI
    10.14907/primate.37.0_44_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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