マイノリティとトラスト ―CSCE/OSCEにおける「信頼醸成(トラスト)」とマスメディア―

書誌事項

タイトル別名
  • Minorities and Trust: Trust in the CSCE/OSCE Regimes and Mass-Media
  • マイノリティ ト トラスト : CSCE/OSCE ニ オケル 「 シンライ ジョウセイ(トラスト)」 ト マス メディア

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説明

<p>本来,メディアの役割としては市民と政府の間の不完全情報の状態を解消し,より良き統治を志向するものである。この不完全情報は国民国家体制であれば単なる統治の問題となるが,多民族国家の場合は統治民族と被統治民族の間の問題となる。また国際社会に目を転じると,民族間の不完全情報が国家間の不安定化をもたらす点も存在している。冷戦期の欧州では,CSCEを中心に情報の移動に関して議論がなされた。西側諸国は情報の自由移動を主張するのに対し,東側諸国は「信頼醸成としての情報」を主張し,メディアからの情報の国家管理を主張した。この議論は平行線をたどり,冷戦終結にいたるまで解消されることはなかった。冷戦終結後,その東側諸国が主張した「信頼醸成としての情報」が民族問題への対処として注目を集めるようになる。しかしながら冷戦の記憶により,その信頼醸成としての情報の概念がCSCE/OSCEにおいて受容されるようになるまでには6年の年月を経ることとなった。「信頼醸成(トラスト)」であっても,その主体が何であるのかという点に関しては,国家間から民族間へと,その主体を変えることになったのである。</p>

収録刊行物

  • 公共政策研究

    公共政策研究 19 (0), 31-39, 2019-12-10

    日本公共政策学会

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