地表水中の腐植物質と結合した鉄の定量法

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タイトル別名
  • Quantitative Analysis of Iron Bound to Humic Substances in Surface Water
  • チヒョウ スイチュウ ノ フショク ブッシツ ト ケツゴウ シタ テツ ノ テイリョウホウ

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抄録

<p>地表水中の溶存鉄の多くがFe(III)とフミン酸(humic acid,HA)やフルボ酸などの天然有機化合物(natural organic matter,NOM)が結合した腐植酸鉄(Fe(III)NOM)の形態で存在し,微生物や植物の成長に大きな影響を与え,水産業や農業等に重要である.本論文では,デフェロキサミン(deferoxamine,DFO),L-アスコルビン酸,Fe(II)用ナノ薄膜試験紙を用いた,前処理と比色を同時に行う簡便な方法を地表水中のFe(III)NOMの現場分析として提案する.DFOはシデロフォアとして知られ,Fe(III)NOMをFe(III)DFO(K: 1031)に変換することが可能であるが,バソフェナントロリンスルホン酸からなるナノ薄膜試験紙とFe(II)との発色を妨害する.しかしながら,大過剰量のL-アスコルビン酸の添加及びそれに伴うpH低下により,Fe(III)DFO錯体は分解及び還元され,ナノ薄膜試験紙での鉄濃度に一致した色変化が起った.Fe(II),Fe(III)DFO,Fe(III)HAの検量線が一致し,15 ppb〜約1 ppmのFe(III)HAを定量することに成功した.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 70 (7.8), 459-467, 2021-07-05

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (19)*注記

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