円形脱毛症と鑑別疾患の見分け方

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タイトル別名
  • A guide to distinguish alopecia areata from other hair loss diseases presenting similar clinical manifestations
  • エンケイ ダツモウショウ ト カンベツ シッカン ノ ミワケ カタ

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円形脱毛症は典型的には境界明瞭な脱毛斑を呈する脱毛疾患である.病理組織学的には成長期毛包の毛球部周囲性のリンパ球を主とする炎症性細胞浸潤が特徴である.皮膚科外来では,よく遭遇する脱毛症ではあるが,類似する臨床像を呈する脱毛疾患があり,またそうした鑑別となる疾患の治療方針は円形脱毛症のそれとは異なるため正確に診断することが重要である.初診時には問診,視診に加えて触診が大切である.脱毛斑部で “チクチク”した触感を得た場合には活動期の円形脱毛症であることが多い.また,抜毛テストでの毛球部の萎縮性変化は円形脱毛症を支持する所見である. トリコスコピーでは,円形脱毛症の病期に応じて,漸減毛(感嘆符毛),断裂毛,黒点,短軟毛などがみられるが,なかでも漸減毛の診断学的価値が高い.円形脱毛症の鑑別疾患として,トリコチロマニア,lichen planopilarisやchronic lupus erythematosusをはじめとする瘢痕性脱毛症,頭部白癬,男性型・女性型脱毛症,triangular alopecia,その他,リンパ腫,梅毒性脱毛,牽引性脱毛などがあるが,それらの多くは皮膚生検まで行うことなく,注意深い臨床像の観察,抜毛テスト,トリコスコピーによる評価で可能である.抜毛テスト検体の真菌鏡検は頭部白癬の鑑別に不可欠である.トリコスコピーにて不自然に幾何学的な脱毛斑であり,易脱毛性がなくfollicular microhemorrhage, V-sign, and flame hairsなどが見られた場合にはトリコチロマニアが疑われる.トリコスコピー上,毛孔の消失は瘢痕性脱毛症を示唆する.こうした所見が得られない場合には皮膚生検による病理組織学的診断が必要となる.本稿では円形脱毛症と鑑別疾患の診断に必要な具体的な方法論について解説を試みる.

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