禁煙治療に伴う皮膚性状変化についての検討

DOI

この論文をさがす

抄録

【はじめに】<br>  喫煙がシワなど皮膚老徴の加速要因であることはよく知られている。その一方で、若年女性の喫煙率はなかなか低下せず、大きな社会問題と認識される。皮膚シワと喫煙習慣は相関関係にあることは報告されているが、肌の見え方に対する喫煙の影響や禁煙治療の効果を検討した報告はない。<br>  肌の見え方は、一般に、皮膚色と肌の光学特性に影響される。皮膚色を構成する要素はヘモグロビンとメラニンが大部分をしめる。喫煙によりヘモグロビンは血流が低下、血中濃度が増加するとされる。また肌の光学特性には角層透明度が影響するとされ、酸化ストレスにより増加する角層カルボニルタンパクによって角層透明度が低下することが報告されている。<br>  そこで今回、禁煙治療に伴う肌の見え方の変化を皮膚色、皮膚構成要素、角層カルボニルタンパクについて非侵襲的に追跡し、客観的な有用性を取得することを目的とした。<br> 【方 法】<br>  2009年6月から2010年6月に、順天堂大学付属病院の禁煙外来を受診し、同意が得られた症例(84例、24歳~77歳)を前向きに検討した。治療前および2、4、8,12週後に、頬部と手背部あるいは前腕部の皮膚を分光測色計(Konica-Minolta CM2002)で計測し、角層カルボニルタンパクをテープストリッピングにより計測した。<br> 【結 果】<br>  角層カルボニルタンパクには有意傾向はなかったものの、皮膚色では明度が上昇し、赤味は減少する傾向が あった。また皮膚構成要素ではヘモグロビンの減少傾向があった。また多変量解析で尤度検定を行うとヘモグロビン、明度が禁煙の成否で有意に変化する可能性が示唆された。以上から、皮膚ヘモグロビン減少による明度上昇を非侵襲的にとらえている可能性が考えられた。<br> 【結 語】<br>  今回の検討方法は非侵襲的に簡便に測定できた。禁煙の効果を今回のように簡便に肌の明るさの改善として示せれば、近年問題となっている若い女性の禁煙支援に有用と思われる。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.5 (09), 17-17, 2011

    日本禁煙科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ