P-15-04 日々の臨床における主観的評価を客観的評価で裏付けた1例

DOI
  • 渡辺 遥
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園
  • 関森 英伸
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園 国際医療福祉大学 保健医療学部 作業療法学科
  • 梅原 幸子
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園
  • 鈴木 賢治
    国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科
  • 新井田 孝裕
    国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科
  • 下泉 秀夫
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園

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抄録

はじめに 我々は重症心身障害児(者)の外界への気付きや快表出を促す手段として各種感覚刺激入力を用いている。しかし、感覚刺激を用いた支援の中で得られる応答は乏しく不確かで、観察から判断した支援が最良の方法なのか悩みながら臨床を続けている。今回、視覚に対する刺激入力の反応が乏しい対象者に客観的視機能評価を実施し、その結果から自らが行ってきた作業療法支援について振り返る機会を得たため報告する。 対象・方法 対象:40歳代男性。診断名:脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)、大島分類1、横地分類A1。 方法:①主観的評価:随意運動は、眼・口の開閉、肩・頸部のわずかな動きのみ。開眼や開口がみられた際に気付きが得られたと判断。今回、過去2年間の作業療法による支援内容を介入した感覚機能毎に分け、得られた反応の量を-〜3+で評価した。②客観的視機能評価:視覚誘発電位(以下、VEP)および対光反応の測定を実施した。VEPは4段階の強度で光刺激を行い波形の測定をし、対光反応は直接反応の縮瞳率で測定した。 結果 [全刺激数289回のうち主たる感覚機能毎の介入割合、主たる介入内容、得られた反応の量]視覚(9.6%、バブルユニット・絵本、-)、聴覚(33.2%、うた、2+)、固有受容覚(26.9%、楽器、3+)、触覚(22.4%、足浴、3+)、嗅覚(7.6%、アロマクリーム、1+)。単一の感覚刺激を入力した場合に比べ、固有受容覚+聴覚、触覚+嗅覚とより複合的な感覚刺激の入力で開眼や開口の頻度が増加した。VEPでは全ての光刺激強度で有用な反応が得られなかった。対光反応の直接反応では、縮瞳率が左眼CR:0.39、右眼CR:0.27となり対光反応が認められた。 まとめ 上記の結果より対象者は皮質盲と考えられ、視覚刺激への反応が乏しいという主観的評価が裏付けられた。また、複合的な感覚刺激による支援で長期的に関わり観察を繰り返すことが、支援をより有用なものにすると考えられた。 申告すべきCOIはない。

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