O-20-02 重症心身障害児(者)施設における成人期入所者への集中リハビリテーションの効果

DOI
  • 伊藤 蘭
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター リハビリテーション科
  • 木原 健二
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター リハビリテーション科
  • 松本 葉子
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター 小児科
  • 西村 美緒
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター 小児科
  • 八木 麻理子
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター 小児科 甲南女子大学 人間科学部 総合子ども学科
  • 河﨑 洋子
    社会福祉法人 芳友 にこにこハウス医療福祉センター 小児科

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抄録

目的 医療の発展に伴って重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の平均寿命は延長しており、同時に高齢化・重症化が問題となっている。重症児(者)の粗大運動機能は呼吸・消化器系の合併症と関連し、生命予後に影響する。高齢化に伴う運動機能の低下に対し、重症化を予防するために早期から機能維持を図ることが重要となってくる。重症児(者)1名に対し、集中的に理学療法介入を行った症例について報告する。 症例 30代男性。疾患名はヘルペス脳炎後遺症、視覚障害(全盲)。下肢に痙縮・拘縮がある。GMFCSレベルはⅣ。寝返り・起き上がり・床座位は自立。端座位は近位見守り。四つ這い・膝立ち・立位・歩行は不可。強いタッチ、振動等の感覚を好み、車椅子上では身体を揺らす、額や顎を叩くなどの自己刺激行動が見られる。音声言語の理解は不可。快・不快は自己刺激等で表出できる。車椅子上では自己刺激行動により、額や顎に発赤ができるため、ベッド上で過ごされることが多い。 方法 本人の好む刺激を提供し、最大の運動機能である端座位を可能な限り保持するよう促した。週に4〜5回の頻度で1回40分2か月間介入した。 経過 開始直後はモチベーションの維持が難しく、自ら後方へ倒れていくことが多く、端座位は5分程度であった。開始4週以降、20分間の保持が可能となり、開始6週経過時には、35分以上の端座位が可能となった。また、開始時は後方重心であることが多かったが、徐々に前方重心となり、前方へのリーチが増加した。 考察 高頻度かつ同条件にて実施したことが、動機づけにつながり、最大の運動機能を発揮できるようになったと考えられる。集中的に実施することで座位保持時間が延長し、1対1の関わりであれば、活動(好む刺激)への参加が継続しやすいことがわかった。今回、座位保持時間の延長にはつながったが、座位保持機能に対しての評価は実施できていないため、今後の課題としたい。 申告すべきCOIはない。

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