デ・マルティーノを読む治療者たち ——移民のための精神保健におけるイタリアの思想——

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タイトル別名
  • Clinicians Reading De Martino: Italian Thought in Mental Health for Migrants
  • デ・マルティーノを読む治療者たち : 移民のための精神保健におけるイタリアの思想
  • デ ・ マルティーノ オ ヨム チリョウシャ タチ : イミン ノ タメ ノ セイシン ホケン ニ オケル イタリア ノ シソウ

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抄録

<p>イタリアで移民の精神保健に携わる治療者たちの間では、民族学者たるエルネスト・デ・マルティーノ(1908–1965)の著作が読まれている。彼は、歴史過程の諸関係のなかであらゆるものを読み取るという、ベネデット・クローチェ(1866–1952)の歴史主義を民族学に適用することで、1940年代には自然科学的かつ自民族中心主義的であった民族学の改革を図り、西洋人の自己革命を目指したことで知られている。このようなデ・マルティーノがいわゆる「未開人」やサバルタンの精神状態についての研究をとおして提出した概念は、現在の「他者」たる移民の理解を試みるうえで参考になるとともに、近代西洋的な精神医学の見直しをも促すものとなっている。このことから、イタリアの治療者たちは、デ・マルティーノを読むことで、歴史主義的な思想に根ざした精神保健サービスを移民に提供しようとしていると考えられる。</p>

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