O20-1 高頻度反復性経頭蓋磁気刺激と集中的理学療法の併用により歩行能力が向上した回復期脳 卒中症例

DOI
  • 古西 幸夫
    総合リハビリテーションセンター・みどり病院 リハビリテーション部
  • 山重 太希
    総合リハビリテーションセンター・みどり病院 リハビリテーション部
  • 浜辺 政晴
    総合リハビリテーションセンター・みどり病院 リハビリテーション部
  • 川村 邦雄
    同部部長・脳神経内科医師(MD)

抄録

<p>【はじめに】回復期脳出血患者に対して,高頻度反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)と集中的理学療法を併用した結果,歩行能力の向上がみられたため報告する.</p><p>【対象】症例は右視床出血により左片麻痺を呈した60 歳代男性である.回復期病院へ転院後,短下肢装具とT 字杖を使用して監視歩行が可能となったが,麻痺側遊脚期でクリアランス低下がみられた.発症後140 病日からrTMS と集中的理学療法を開始した.</p><p>【方法】ABA デザインで基準期(A1),介入期(B),撤回期(A2)を設けた.各期の構成は運動療法と歩行練習を主とした理学療法6 日(4 単位/日)と休息1 日とした.B 期ではMagProR30(MagVenture 社)を使用して医師が両側一次運動野下肢領域への高頻度rTMS(5Hz,15 分/日)を施行した.評価項目は,10m 歩行(最大),Timed up and Go test(TUG),下肢Brunnstrom Recovery Stage(BRS),Fugl-Meyer Assessment(FMA)下肢項目とした.また,歩行時の麻痺側前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動を表面筋電図(簡易筋電計TS-MYO,トランクソリューション社)で計測した.評価時期は介入前日と各期最終日(Pre/A1/B/A2)とした.</p><p>【倫理的配慮】rTMS は当院倫理審査委員会の規定に則り実施した.本報告はヘルシンキ宣言に準拠し症例に同意を得た.利益相反はない.</p><p>【結果】歩行速度(m/ 秒)0.67/0.69/0.79/0.98 ,ケイデンス(歩/ 分)98/94.8/106.3/111.6 .TUG (秒)</p><p>16.1/16/13.9/13.4.下肢BRS4,FMA 下肢項目33 点で変化はなかった.筋電図評価では,ヒラメ筋の前遊脚期まで持続する異常筋活動を認めたが,B 期以降は消失していた.</p><p>【考察】歩行能力が向上した要因として,rTMSによる下肢領域の賦活が理学療法の効果を高めた可能性が考えられる.また,歩行時の筋活動変化から,評価項目で捉えられない範囲で麻痺側下肢機能が改善した可能性が示唆さ</p><p>れた.本報告を踏まえて回復期での適応や評価・介入内容を検討していく必要がある.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390853179619583232
  • NII論文ID
    130008121218
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_106
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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