O16-5 着地動作にてアキレス腱実質部痛を訴えるバレエ愛好家の一症例 慢性足関節不安定症に着 目して

DOI
  • 金子 史弥
    明大前整形外科クリニック AR-Ex スポーツメディカルグループ
  • 竹内 大樹
    AR-Ex 尾山台整形外科東京関節鏡センター リハビリテーション科 アレックスメディカルリサーチセンター
  • 兼岩 淳平
    AR-Ex 尾山台整形外科東京関節鏡センター リハビリテーション科 アレックスメディカルリサーチセンター

抄録

<p>【はじめに】慢性足関節不安定症(CAI)は足部マルアライメントを呈し,他の足部疾患を誘発する可能性があるが,CAI を伴う足部疾患の報告は渉猟し得ない.我々はCAI を随伴しクラシックバレエ時にアキレス腱実質部痛を呈したバレエ愛好家の症例を報告する.</p><p>【倫理的配慮】本報告は「ヘルシンキ宣言」を遵守し,本症例には発表の趣旨を十分に説明し同意を得た.</p><p>【症例】38 歳女性,診断名は左アキレス腱付着部部分損傷であった.現病歴は2020 年1 月からバレエ後に左アキレス腱痛が出現.2021 年2 月に疼痛増悪のためリハビリ開始となった.主訴は着地動作時とバレエ後のアキレス腱痛であった.画像所見ではX 線にて踵骨隆起および距骨前方の骨棘を認め,超音波画像診断にてアキレス腱実質部の腫脹を認めた.アキレス腱患者立脚型評価VISA-A は34 点,アキレス腱実質部に圧痛を認めた.CAIT Score は両足とも14 点でGiving way 歴を有しCAI 包含基準を満たした.FPI-6 は右6 点,左7 点であった.左足可動域は背屈15°,底屈45°,荷重下背屈時に足部外転代償を呈した.筋力は中殿筋,ヒラメ筋4 レベル,Active SLR にて骨盤動揺を認めた.30 秒片脚バランスでの動揺回数は右3 回左5 回であった.前方引き出しテスト,内反ストレステスト陽性であった.治療はアライメント修正,アキレス腱強化,バランス機能改善を目的に介入を行った.介入2 カ月後には着地動作時の症状軽減,VISA-A は84 点,圧痛とバランス時の動揺消失を獲得した.</p><p>【考察】本症例はCAI を随伴しバレエ時にアキレス腱実質部痛を訴えた.アキレス腱障害の危険因子には後足部回内が挙げられる.CAI では動作時に前額面上の足部運動変動性が高くなる.よって前額面上での足部不安定性がアキレス腱実質部への力学的ストレス増大に関与したと考えた.足部不安定性への介入によりアキレス腱痛の軽減を達成できた.今後は本症例を基にCAI を随伴する足部疾患について検討する必要がある.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390853179619973632
  • NII論文ID
    130008121412
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_90
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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