皮膚科の進歩とリーダー育成

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  • 第122回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 皮膚科の進歩とリーダー育成
  • ダイ122カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム ヒフカ ノ シンポ ト リーダー イクセイ

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抄録

<p> 最近10年間の皮膚科の進歩という観点から最も大きなインパクトを与えたのは, 数多くの生物学的製剤が登場したことであった. 乾癬においては約10年間で生物学的製剤5種類, 計10剤が上市された. これらの生物学的製剤の効果・安全性は高く, 患者は煩わしい外用療法から解放された. 一方で, 生物学的製剤は高価であり, また中止すると再燃するため継続的に投与する必要があることがデメリットとして挙げられる. さらに個々の患者で, どの生物学的製剤が最も高い効果が期待できるのかは不明であり, 生物学的製剤の適切な使い分けについては情報がほとんどないことも問題となっている.</p><p> アトピー性皮膚炎に対しても, 3年前に抗 IL-4Rα 抗体であるデュピルマブが上市された. デュピルマブは Th2 サイトカインである IL-4/13 を抑制し, 抗炎症作用のみならず, 皮膚バリア機能を改善することが特徴である. また痒みに関しても効果が高く, 安全性も高い. デュピルマブによって外用が全く不要になるというわけではないが, 煩わしい外用の頻度を減少させ, アトピー性皮膚炎の治療を大きく変化させた生物学的製剤といえる.</p><p> 皮膚科のリーダー育成については, 日本皮膚科学会のアンケート調査で, 経験年数10~15年の中堅クラスが少ないため, 大学でのスタッフや関連病院の部長クラスを務められる年代が少なくなっていることが明らかとなっている. リーダーへの足がかりとなる中堅クラスが少ないものの, 20~30歳代はリーダーになりたいという意欲を持っているため, 20~30歳代の若手医師を対象にリーダー育成プログラムが必要であると結論づけられている. このような現状に対して, 日本皮膚科学会キャリア支援委員会が, リーダー育成プログラムを作成し活動している.</p>

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