生活の中の階層構造は理解されているか:家電利用における高齢者-若年成人比較

書誌事項

タイトル別名
  • Do people understand hierarchical structure in their daily lives?: a comparison between older- and younger- adults in usage of home appliances

抄録

<p>情報機器の機能提示に用いられる階層的メニュー表示は,高齢利用者や特定状況で理解が難しいことが示されている(石井・原田,2019他)。一方で近年,情報化・多機能化に伴い,家電製品においても情報機器と同様の階層的メニュー表示が増えている。日常的に利用する家電製品において,ユーザが階層的メニュー表示をどのように理解するかを検討するため,高機能オーブンレンジを対象に,高齢者7名(男4女3)と若年成人6名(大学生,男女各3)を参加者として実験を行った。実験室におけるレンジ利用課題後,メニュー構造に関する記憶・理解の検討のため,メニュー内ボタン名を個別に印字したカードの分類を求める課題を行った。その結果,メニュー構造の階層的な理解の程度を示すタブ得点,項目得点は両年齢群で低く,群間差は見られなかった。一方,レンジ利用課題時に用いられていない機能名の分類に関わる新規項目得点では,高齢者の成績が若年成人を有意に下回った。家電における階層構造に基づく機能提示はユーザに理解されておらず,人-人工物間の相互作用に齟齬を生む可能性が示唆され,同時に局所的な情報推論に基づく利用行動における認知的加齢の影響が示唆された。</p>

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