どのように恨み忌避感は規範遵守行動を促進するか?―コロナ禍における感染予防行動に注目して―

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  • The facilitation effect of avoidance of resentment on norm compliance during the COVID-19 outbreak in Japan

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<p>コロナ禍にある現在の社会では,マスク着用や手洗いなどの感染予防行動が規範的行動として定着してきている。その背景には,感染拡大を阻止する公衆衛生上の理由から「その行動をすることは良いことである」と評価されていることが考えられる。一方,行動に対する評価に関わらず,他者から恨まれる可能性を避けるために,多くの人が「良い」と考えているであろう行動をおこなっている可能性もある。そこで本研究では,日本に住む男女205名を対象に,他者から恨まれたくないと感じる「恨み忌避感」が,感染予防行動に対する評価と行動頻度の関係を調整する可能性を検証した。その結果,マスク着用行動を肯定的に評価している者ほどマスク着用頻度が高かった。しかし,他者からの恨みを懸念する恨み忌避感が,その関係を調整していた。すなわち,恨み忌避感が弱い者に比べて強い者は,マスク着用行動への肯定的評価が低い場合でも,マスク着用頻度が高かった。以上の結果は,他者からの評価を受けにくい手洗い行動の文脈においては見られなかったことから,特に公共の場における規範遵守行動を促進する要因として恨み忌避感の役割を指摘するものであるといえる。</p>

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