水平解像度2km非静力学大気波浪海洋結合モデルによりシミュレートされた2018年台風チャーミー及びコンレイの急衰弱におけるメソスケール海洋渦の役割

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of Oceanic Mesoscale Eddy in Rapid Weakening of Typhoons Trami and Kong-Rey in 2018 Simulated with a 2-km-Mesh Atmosphere-Wave-Ocean Coupled Model
  • Roles of Oceanic Mesoscale Eddy in Rapid Weakening of Typhoons Trami and Kong-Rey in 2018 Simulated with a 2-km-Mesh Atmosphere-Wave-Ocean Coupled Model : Special Edition on Typhoons in 2018-2019

この論文をさがす

抄録

<p> 2018年、日本に上陸した台風チャーミーは進路転向後に急衰弱した後、数日間その強さを維持した。続いて台風コンレイはチャーミーによって冷やされた海域を急衰弱しつつ通過した。これら2つの台風が急衰弱した海域は、海洋中規模渦が豊富な海域である。これら2つの台風の強度変化における冷水渦の役割とその類似点及び相違点を理解するため、2km水平解像度非静力学大気モデルと大気波浪海洋結合により数値シミュレーションを実施した。また冷水渦の強度を観測により確証できないため、チャーミーの弱化に有意に寄与する規模を仮定した人工冷水渦を埋め込んだ海洋初期値及び日付の異なる海洋初期値を用いた感度実験を実施した。コンレイに対しては、日付の異なる海洋初期値の代わりに、9つの大気初期値に対するアンサンブルシミュレーションを実施した。2つのシミュレートされた台風の急衰弱における海洋場の役割は、どちらも台風通過時の海水温低下による海洋貯熱量の低下と関係していた。チャーミーとコンレイに対するシミュレーション結果のほとんどは、成熟期または衰退期の期間、過剰発達傾向を示した。チャーミーの過発達は不十分な海面水温低下により生じており、人工冷水渦は海水温低下の促進を助長した。一方でコンレイの過発達は台風進路シミュレーションの失敗に関連していた。コンレイの進路が適切にシミュレートされることにより、コンレイはより多くの時間、海水温低下域上を移動することとなり、鉛直シア上流側における地表面付近及びインフロー境界層、台風中心への内部コア域における水蒸気輸送の減少を通じて、弱化を強めることとなった。2つの台風に見られた共通点として、中心における下降流と関連する断熱加熱の減少が台風弱化と密接にかかわっていた。</p>

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 99 (6), 1453-1482, 2021

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (76)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ