医薬看護連携で臨む新型コロナウイルス感染症の薬物治療

DOI
  • 高山 真
    東北大学病院 総合地域医療教育支援部(総合診療科・漢方内科)

抄録

<p>新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応は、感染対策、発病予防、発病後の治療、早期回復、遷延症対応に大まかに分けることができる。これらを実現す るには、行政、保健、医療(医薬看)の連携が必須となる。</p><p>国内においてワクチン接種が進み、mRNA ワクチン等の効果も明らかとなっ てきている。また、発病後の治療については多くの既存薬、新規開発薬の臨床研究が盛んに行われてきており、軽症・中等症 Iには年齢や合併症のリスク評価の 上で中和抗体療法が取り入れられ、酸素投与が必要な中等症 IIにはデキサメサゾンなどのステロイド投与が行われ、抗ウイルス薬レムデシビルも使用される。重症例にはさらにヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のバリシチニブなども使用可能とな り徐々にステージやリスクレベルに合わせた治療が現実となってきた。</p><p>日本の漢方薬は様々なウイルス感染症に対しても使用されてきた歴史があ り、1918 ~1919 年に国内でも蔓延したスペイン風邪では、木村博昭先生らが柴葛解肌湯などを用いて対応した治療経験が報告されてる。日本東洋医学会では COVID-19における学会主導研究として、発病予防の観点から体調を整えて免疫 賦活を考える( 未病 )、軽症・中等症のステージにおける症状への対応、重症化抑制(発病急性期~亜急性期)、早期回復、遷延症状や後遺症対策(病後期)の 研究を進めている。</p><p>漢方の特徴として急性発熱性疾患を漢方医学の視点から解釈し、治療法であ る漢方薬を選択できるという利点がある。この概念と運用は原因となる病原体が変化しても生体反応の側面から治療を模索できるため、新興ウイルス感染症と関 連する諸症状にも活用が可能である。さらに、複数の作用機序でウイルスに作用しサイトカイン産生や臓器組織炎症の抑制などにより多角的に作用する点が挙げ られる。また、生体の免疫調整作用や組織回復、病理産物の代謝促進など様々な作用を有し、他の治験薬等とは異なる性質がある。漢方薬は、その使用実績か ら既知の副作用についても概ね把握されており、安全性情報は公開されておりかつ費用的に安価である。</p><p>以上の観点から、当日は具体的な症状に対する漢方の考え方と漢方薬の選択、 看護領域における使用の工夫や注意点などについて概説する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390853354529859328
  • NII論文ID
    130008130111
  • DOI
    10.34597/npc.2021.3.0_es-1
  • ISSN
    24358460
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ