V溝直播栽培における出穂期前後の落水によるコメ中無機ヒ素低減効果

  • 安藤 薫
    愛知県農業総合試験場
  • 日置 雅之
    愛知県農業総合試験場
  • 遠山 孝通
    愛知県農業総合試験場
  • 黒野 綾子
    愛知県農業総合試験場
  • 小田 紫帆里
    愛知県農業総合試験場
  • 柏木 啓佑
    愛知県農業総合試験場
  • 瀧 勝俊
    愛知県農業総合試験場
  • 中村 乾
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門
  • 加藤 英孝
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門
  • 鈴木 克拓
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)中日本農業研究センター
  • 馬場 浩司
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門
  • 桑形 恒男
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of water management on inorganic arsenic concentration in rice grains in V-furrow direct seeding cultivation
  • Vミゾ ジカマキ サイバイ ニ オケル シュッスイキ ゼンゴ ノ ラクスイ ニ ヨル コメ チュウ ムキ ヒソ テイゲン コウカ

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抄録

<p>中干しのある移植栽培では,出穂期前後計6週間にわたり湛水状態で維持する場合に比べ,3日間湛水・4日間落水(3湛4落)を6回繰り返すことで玄米中無機ヒ素濃度の低減が可能とされている.本研究ではV溝直播栽培における落水によるヒ素低減効果および出穂期前後に実施する4日間落水の回数を6回から3回に減らした場合の効果の解明を目的とした.V溝直播栽培において,落水を繰り返すことで体積含水率の低下および酸化還元電位の上昇は早まる傾向を示した.土壌溶液中の総ヒ素濃度は湛水区に比べて落水区で低下し,玄米中無機ヒ素濃度は落水3回区,落水6回区で湛水区と比べて有意に低下し,落水3回区と落水6回区の間に有意差はなかった.また,コメの収量は出穂期前後に晴天・高温が続いた年は落水によって減少傾向を示したが,平均的な気温で推移した年は減少しなかった.V溝直播栽培は移植栽培に比べ根が表層0–5 cmに集中しており,晴天・高温が続くとイネが水ストレスを受けやすい可能性が示唆された.落水によって土壌水マトリックポテンシャルが−70 kPaとなる場合もあり,イネが水分ストレスを受け整粒歩合が低下した可能性が考えられる.したがって,V溝直播栽培では高温・晴天が長期間続く場合を除き,出穂期前後計6週間に4日間の落水を3回行うことで収量を落とすことなく落水6回に近い玄米中無機ヒ素濃度低減効果を得ることができると考えられる.</p>

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