<i>Lactobacillus helveticus</i> AHU 1049のドラフトゲノムシーケンスとハード系およびセミハード系チーズ用スターターへの利用に関する予備検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Study on the draft genome sequence analysis of <i>Lactobacillus helveticus</i> AHU 1049 and its preliminary application study for laboratory scale hard or semi-hard cheese production
抄録
<p> 1935年に北海道月形町のクリームから分離されたことが文書で明らかにされているLactobacillus helveticus AHU 1049(以下,AHU 1049)の特性把握を,ドラフトゲノムシーケンスによるたんぱく質分解酵素遺伝子の抽出とセミハードおよびハードタイプチーズの予備的な試作の面から調べた。AHU 1049はCell envelope proteinase (CEP)遺伝子としてprtH3を唯一持つこと,CEP以外のペプチダーゼ遺伝子として7つのpepN,3つのpepP,3つのpepO,4つのpepD,2つのpepT,2つのpip,さらにpepX, pcp, pepF, prpVを各1個有していることを明らかにした。これらはチーズなどの熟成において遊離アミノ酸や低分子ペプチド生成が期待される。配乳10 kgで,LDスターター単独とLDスターターとAHU 1049を併用したクッキング温度40℃のセミハードタイプチーズ,LDスターターとAHU 1049を併用してスコールディング温度を50℃,55℃,60℃としたハードタイプチーズ,を予備検討試作した。12か月熟成の結果,水分含量がほぼ同じセミハードタイプチーズでは,AHU 1049を併用した試作チーズではカゼインから分解されたペプチドは少ない傾向であったが,遊離グルタミン酸,グルタミン量が多かった。一方,50℃や55℃でスコールディングしたハードチーズでは,水分含量がセミハードタイプ試作品より低いのにもかかわらず,遊離グルタミン酸,グルタミン量はスコールディングをしないチーズと同レベルで推移した。ペプチダーゼ遺伝子を多数保有するAHU 1049が日本国内分離株という特徴に加えて,チーズ製造における遊離アミノ酸生成菌株としても利用できる可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- ミルクサイエンス
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ミルクサイエンス 70 (3), 127-138, 2021
日本酪農科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390853498607637120
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- NII論文ID
- 130008137679
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- ISSN
- 21880700
- 13430289
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可