北海道に降雪をもたらす気団変質の近年の変動について

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  • Recent Variations in Air Mass Alteration over the Japan Sea Causing Snowfall in Hokkaido, Japan

抄録

<p>中緯度偏西風帯に位置する日本には明瞭な四季が存在する.日本海冬季の天候を特徴づけるのはアジアモンスーンの冬の季節風であり,世界でも有数の多雪地帯を抱える.冬季日本海上では大陸からの冷たく乾いた北西季節風が吹くと,相対的に暖かい海面から大気下層へ大量の熱と水蒸気が供給され,気温が上昇し湿潤となり不安定となる.この過程を気団変質と呼び,気団変質過程を通じ雪雲が発生することで日本海側に多量の降雪がもたらされる.2019/2020冬季は日本海側で記録的な小雪となった.同冬季は全国的に暖冬であり降雪量が少なくなったが,本州日本海側と北海道では降雪に対する気温の影響は大きく異なる.そこで本研究は北海道に降雪をもたらす気団変質の近年(直近3年間)の変動とその要因について,観測データおよび再解析データを用いて解析を行なった.気象庁AMeDAS観測データ(降水量・降雪量・気温),JRA55再解析データ, 海面水温NOAA/OISST,および札幌 (43.06°N, 141.32°E) およびロシア・ダリネレチェンスク(45.52°N, 133.44°E)の高層観測データを解析に用いた.解析対象冬季は 2017/2018(多雪年),2018/2019(小雪年), 2019/2020(記録的小雪年)の3冬季であり,一冬季は12月・翌1月・2月の3ヶ月と定義した.解析の結果,2019/2020冬季の顕熱・潜熱フラックスを介した熱・水蒸気供給に関しては西高東低の冬型の気圧配置の弱化による季節風減ではなく,海気温差減少の寄与の方が大きかった.さらに海気温差の構成要素のうち気温の寄与が大きく,特にシベリア大陸上の下層大気の気温上昇が日本海の気団変質弱化に対し支配的に寄与していたことが分かった.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390853509417789568
  • NII論文ID
    130008138109
  • DOI
    10.11520/jshwr.34.0_354
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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