クロマツと4種の広葉樹の根系発達への土壌硬度の影響

書誌事項

タイトル別名
  • The influence of soil hardness on the root development of <i>Pinus thunbergii</i> and four species of broadleaf trees
  • クロマツ ト 4シュ ノ コウヨウジュ ノ コンケイ ハッタツ エ ノ ドジョウ コウド ノ エイキョウ

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抄録

東日本大震災からの海岸林再生では、植栽木の根を深く張らせて根返りへの耐性を高めるために、厚い生育基盤の確保が盛土により図られる事例が多く見られる。しかし、盛土を伴う生育基盤の土壌は重機での締め固めにより硬くなり易く、硬い土壌による根の発達阻害が再生事業関係者に懸念されている。本研究では、日本の海岸林の代表的樹種であるクロマツと海岸林への導入が見込まれる広葉樹の根系の発達への土壌硬度の影響を調べることを目的として、土壌カラムへの植栽実験を行った。土壌カラムには、直径15cm、高さ50cmの塩化ビニル製円筒を筐体として用い、海砂を充填し、中層部に異なる土壌硬度を設定した厚さ4cmの設定層を設けた。設定層には、極度に硬い層、硬い層、軟らかい層 (対照層) の3つの硬さを設定し、2種の硬い層には海岸林再生地の生育基盤から採取した不攪乱土壌コアを、対照層には海砂を充填したコアを用いた。クロマツと4種の広葉樹(カシワ、ケヤキ、ミズナラ、コナラ)を対象樹種とし、コンテナ苗を設定層上方に植栽した。極度に硬い層では、カシワの根が僅かに通過しただけであった。硬い層では、カシワの根は僅かに通過しただけであったが、他の4樹種の根は対照層を通過した根と比較して断面積合計で30%程度が通過した。これらの結果から、ケヤキ、ミズナラ、コナラの根が硬い土壌を通過する能力はクロマツと同等であることが示唆された。

収録刊行物

  • 森林総合研究所研究報告

    森林総合研究所研究報告 20 (3), 149-157, 2021

    国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所

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