乳房撮影による乳癌診断 (1056例の分析)

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タイトル別名
  • Carcinoma of the Breast
  • ニュウボウ サツエイ ニヨル ニュウガン シンダン 1056レイ ノ ブンセキ
  • --Retrospective Analysis of 1056 Mammograms--

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抄録

順天堂大学放射線科で昭和49年3月より昭和51年9月までに1056例 (1114件) の乳房撮影を行なった. このうち病理組織が判明したものは255例あり, 乳癌が98例あった. 今回, 次の項目について検討してみた. 1) 乳房撮影と超音波検査との診断率の対比. 2) 癌症例のretrospectiveな分析における乳癌X線所見の出現頻度の検討. 3) 乳房撮影誤診例の検討. 結果は, 1) については乳房撮影のtrue positive rateは79.6%, false negative rateは204%, false positive rateは17.8%で, 超音波検査ではそれぞれ74.4%, 25.6%, 15.4%であった. 2) については出現頻度の高いものからhigh densityの腫瘤陰影75%, 腫瘤陰影の辺縁不整67%, 支持靱帯や乳管の引張り込み像50%, マンモグラム上のサイズが触診のサイズより小さいもの50%であった. 3) については非典型的な形態の乳癌を良性腫瘍と誤診したもの, 撮影時のミス, あるいは撮影困難症例の為に癌を見落したもの, 限局性の良性腫瘍を癌と誤ったものが目立った. 乳房撮影と超音波検査の結果を組み合わせて診断すると乳癌の診断率が著しく向上する事がわかった. 圧迫撮影を活用する事により像が鮮明になり, 読影が容易になる為に診断率が高くなる. 適切な診断を得る為に, 放射線科医が積極的に検査に関与すると共に関係各科との円滑なチームブレーが必要であると考える.

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