多胎児をもつ母親のニーズに関する調査研究 単胎児の母親との比較分析

書誌事項

タイトル別名
  • COMPARISON OF CHILD-REARING PROBLEMS AND NECESSARY COMMUNITY WELFARE AND HEALTH SERVICES BETWEEN MOTHERS WITH TWINS OR TRIPLETS OF MOTHERS WITH SINGLETON CHILDREN
  • タタイジ オ モツ ハハオヤ ノ ニーズ ニ カンスル チョウサ ケンキュウ タンタイジ ノ ハハオヤ ト ノ ヒカク ブンセキ

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説明

目的 本研究では,多胎児家庭の育児問題ならびに公的サービスに関するニーズの特徴を単胎児家庭との比較から調査・分析し,保健福祉施設における多胎児支援のあり方を検討する基礎的資料とすることを目的とした。<br/>方法 調査対象は,いずれも西宮市において出生した 6 歳以下の双子・三つ子をもつ母親で,かつ研究の主旨説明に賛同の得られた母親205人(双子の母親200人,三つ子の母親 5 人)である。また,児の年齢構成をマッチさせ,かつ母親の年齢についてもマッチさせた 2 人以上の単胎児をもつ母親911人を比較対照群として得た。調査内容は,妊娠を知ったときの母親の喜びと不安の程度,母親の妊娠中の不安内容,育児協力者の状況,母親の睡眠状態,育児不安の程度,育児をする上で問題と感じる内容,ならびに必要と感じる公的サービスの種類などである。<br/>結果 1. 多胎児の母親では,妊娠を知ったときにほとんど嬉しくなかった,あるいは全く嬉しくなかったと回答した者は,単胎児の母親に比べ有意に多かった。また,妊娠を知ったときに非常に不安,あるいは不安と答えた多胎児の母親は,単胎児の母親よりも有意に多かった。さらに,出産後の育児不安についても多胎児の母親は,強い不安を抱く者が単胎児の母親よりも有意に多かった。<br/> 2. 妊娠や育児に関する情報の取得状況については,単胎児の母親では14.1%が取得できなかったと回答していたのに対し,多胎児の母親では55.2%が取得できなかったと答え,多胎児の母親では妊娠や育児に関する適切な情報が取得できなかった者が単胎児の母親に比べ有意に多かった。<br/> 3. 育児上の問題に関して,経済的な負担,子どもが病気をしたときの通院,健診や予防接種時の人手不足,子どもを連れての外出,母親の外出,育児協力者の不足,時間・気持ちにゆとりがないこと,および授乳の仕方の困難さに対して,多胎児の母親は単胎児の母親に比べ育児する上で問題を感じていた者の比率が有意に高かった。<br/> 4. 公的サービスに関して,多胎児の母親は,育児手当の給付を望む者が最も多く,続いて健診や予防接種時などのヘルパー・ベビーシッターの派遣,多胎児をもつ母親同士の交流会の開催,家事・育児に対するヘルパー・ベビーシッターの派遣に関するサービスをそれぞれ半数以上の多胎児の母親が望んでいた。<br/>結論 多胎児の母親は,単胎児の母親に比べ妊娠中から不安が強く,出産後も強い育児不安を感じている者が多いにもかかわらず,多胎妊娠や育児に関する適切な情報を得られない者が多いことが判明した。多胎児家庭における育児問題としては,人手不足の問題,経済的な負担,同時に複数の乳児を育てるために必要となる授乳方法の技術面での問題などがあることが明らかとなった。

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (26)*注記

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