中国古代における家族倫理-「孝」の思想の特質-

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タイトル別名
  • チュウゴク コダイ ニ オケル カゾク リンリ : 「 コウ 」 ノ シソウ ノ トクシツ

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抄録

儒家の説く孝の思想は日本の社会に大きな影響を与えたとはいえ、両国に発達した家族倫理は大きな隔たりがある。その相違は、一つは「家」の観念そのものであり、二つ目に「孝」の道徳の基礎にかかわる問題であった。中国においては、その伝統的な家の観念が天に根ざすものであり、人間の自然の感情を基礎として家族倫理が説かれているのである。 孝行の道徳は従属をその基本的な性格とするのであるが、それは決して親の側から、また規範として外から強要されるものではなく、あくまで人間の自然の感情に根ざすものである。子の親に対する感情は子としての主体的な行動の原点であり、この人間としての自然の感情をベースとして、子としての主体性を尊重する思想は家族倫理の将来を考え、新たな「家」の観念を模索する場合に重要な示唆を与えるものではないだろうか。

収録刊行物

  • 言語と文明

    言語と文明 10 3-17, 2012-03-30

    麗澤大学大学院言語教育研究科

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