Utilization of a serum-free primary culture of cortical neurons by using cyclodextrins in neurobiological research

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神経生物学的研究における基本的分析系の確立を目的として、シクロデキストリン(CD)を用いたラット大脳皮質神経細胞の初代培養を試みた。β-およびγ-CDは、無血清培地(ダルベッコ改変MEM/ハム培地)中で胎生16および18日目ラットの神経細胞を11日以上10%胎児ウシ血清を加えた培地中と同じ程度に生存させたが、α-CDには生存維持効果が無かった。β-CDはγ-CDより安定した生存維持効果を示したが、胎生21日目ラットの神経細胞を用いた場合は有意に生存率が低下し、新生児ラットでは生存維持効果が無かった。β-CDを用いた無血清培養では10%血清培地中と比べて神経突起の伸展が悪かったが、ときに顕著な突起伸展がみられ、これはCD分子に取り込まれた生理活性物質の作用と考えられた。また、β-CDを用いた無血清培養を利用してラット脳から精製したコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の作用を検討し、CSPGがグルタミン酸による神経細胞死を防止すること、弱いながら培養神経細胞の生存を維持する作用をもつことを示した。以上の結果から、この無血清培養法は神経生物学的研究において有用な分析系となりうることを指摘した。

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