The Scope of Article 39 of National Tax Collection Act and Its Applicability to Inheritance Abandonment
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- 国税徴収法39条「その他第三者に利益を与える処分」の射程 : 相続放棄における適用の有無を中心に
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日本における高齢化が叫ばれて久しい。高齢化が進むと、死亡者数も必然的に増加し、相続の数も増えていくこととなる。その中で、所得税や住民税等を滞納している相続人(以下、「滞納相続人」という。)が、滞納処分(国税通則法(以下、「通則法」という。)40条、国税徴収法(以下、「徴収法」という。)47条以下、地方税法68条等)を逃れるために、相続財産を相続しないようにする事案も出てくるであろう。例えば、滞納相続人が遺産分割協議(民法906条以下)によって、ほとんど財産の分割がないように調整することが考えられる。また、相続放棄(民法915条以下)によって滞納相続人の相続分がなかったようにすることも考えられる。このような方法が採られれば、滞納相続人自身に相続財産が移らずに、国や地方団体(以下、「国等」という。)からの滞納処分が回避される危険がある。他にも相続人がいる場合、滞納相続人が受けられたであろう財産を相続する一方で、滞納相続人の手許には一切の財産が残らず、滞納相続人へ滞納処分を実行することができなくなってしまう。本論文では、滞納相続人が相続放棄をした場合における国等の方策として、第二次納税義務(徴収法39条)の適用の有無を検討した。相続放棄に第二次納税義務の適用があるとすれば、他の相続人は、滞納相続人による相続放棄によって受けた利益を限度として、滞納相続人の滞納税金について納税義務を負うこととなる。相続放棄における第二次納税義務の適用有無を検討するにあたり、まずは第二次納税義務の制度を確認した。次に、徴収法39条と類似した制度として、詐害行為取消権(民法424条)の制度趣旨や要件・効果を検討した。また、相続放棄における第二次納税義務に隣接する、1遺産分割協議における詐害行為取消権の適用、2相続放棄における詐害行為取消権の適用、3遺産分割協議における第二次納税義務の適用について、各事案の判例を検討した。判例では1及び3について適用を認め、2については適用を認めていない。徴収法39条における第二次に納税義務と、詐害行為取消権についても、その制度趣旨や要件・効果を比較し、検討した。以上を踏まえて、「その他第三者に利益を与える処分」の射程を検討した。本論文では、「その他第三者に利益を与える処分」の射程は、原則として異常な利益を与える処分行為全般に及ぶが、個別具体的な事情をみてその相続放棄が必要かつ合理的であれば、利益を受けた共同相続人は徴収法39条における第二次納税義務は負わない、という考えを導いている。最後に、考え方に基づき、相続放棄における具体的事案を仮定して徴収法39条の要件を充足するかを検証した。
Journal
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- 青山ビジネスロー・レビュー
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青山ビジネスロー・レビュー 8 (2), 67-102, 2019-03-30
青山学院大学大学院法学研究科ビジネスロー・センター
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390853649507636352
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- NII Article ID
- 120006650050
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- NII Book ID
- AA12658044
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- DOI
- 10.34321/20932
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- NDL BIB ID
- 029611070
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- ISSN
- 21878668
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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