<Research Notes> 孔子学院のコントロール強化のために用いられる内部メカニズム分析 : ブランド設定と語学検定テストの役割を中心に

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  • 孔子学院のコントロール 強化のために用いられる内部メカニズム分析 : ブランド設定と 語学検定テストの役割を中心に
  • コウシ ガクイン ノ コントロール キョウカ ノ タメニ モチイラレル ナイブ メカニズム ブンセキ : ブランド セッテイ ト ゴガク ケンテイ テスト ノ ヤクワリ オ チュウシン ニ

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抄録

孔子学院とは、2004年度から開始された中国政府公認の中国語教育・普及機関であり、既に全世界500ヶ所以上と言われる拠点を有している。その展開の速さは、言語教育・普及機関として代表格と言われる英語教育・普及機関のブリティッシュ・カウンシル、フランス語教育・普及機関のアリアンス・フランセーズのそれをはるかに上回るものである。孔子学院の特徴の一つは、他言語普及機関とは異なる方式を用いて展開していることであり、この異なる展開方式によって格別な展開の速さが生まれると判断している。但し、このような展開方式を採択することによっては、アクター間のかけ引き等により政府側の求心力を著しく低下させる可能性が生じる。このような求心力の低下を防ぐために、中国政府側が使用するメカニズムを本研究では明らかにしていく。日本の孔子学院の場合、その求心力の低下が如実に説明できるケースであると考えられるが、同様にアジアに位置し、ほぼ同数の孔子学院が展開され、様々な側面において従来から中国との深い関係を持ちつつある韓国の場合、孔子学院の展開において日本のそれとは異なる特徴を持っていることが発見される。それは、語学検定テストが有する「財政の通路としての役割」と「意思疎通の通路としての役割」というメカニズムであり、また、それを「主管する団体」の存在である。換言すれば、中国政府側は、孔子学院事業の急速な展開によってメディアの注目を集める等の自国宣伝効果を上げているものの、その展開によって事実上低下してしまった政府側のコントロール機能を、内部で働くメカニズムを用いることで克服しようとしていると言える。このようなメカニズムを分析することによっては、機関の展開方式以外にも相互理解に影響を与える変数が明らかにされ、国際交流の場で活動する公的機関の公式的な目標と実質的な目標の乖離を測定し批判する根拠にもなり得ると考える。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 3 35-50, 2011-03-30

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

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