<論文>ロボットの普及に伴う人間性の空洞化への影響

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  • <Articles>The Hollowing Influence of Robot Popularization on Humanity

抄録

近年のロボットに対する期待の高まりは著しい。一方で、その普及に伴うロボットとのコミュニケーションに不安を感じる者も少なからずいる。曰く、ロボットには人間の温かみがない、人間のような行動はできても人間とは違うと思ってしまう、と。言わばロボットには人間性が感じられないということだろう。人間性が欠けている、人間性を疑う、人間性を形成するというように、一般的に人間性は有無で評価される。ネガティブな評価は欠如、喪失といった単語で表され、ポジティブな評価は成長や形成といった単語から見いだせる。人間に生まれつき存在するものではなく、それゆえに有無という表現になる。また、その形成には外的要因とそれに対する行動、すなわち教育や課題解決が関わる。特に子供の人間性の形成は教育の現場で急務とされる。では、そうした外的要因と行動について、今後ロボットが普及した世界を想像するにロボットとのコミュニケーションがその一部を占める可能性がある。ロボットの一般家庭への普及を考えるならば、そのコミュニケーションが子供の人間性の形成にいかなる影響を与えるかも考えなければならない。そこで危惧する必要があるのが「人間性の空洞化」である。人間性がただ失われるだけでなく、外面的には人間らしい振る舞いができるがなぜそうした行動をするのか理解できなくなってしまうのではないか。これを説明するために筆者が提示するのが「2 次元的メディア」と「3 次元的メディア」である。ここでいうメディアとはコミュニケーションの相手という意味であるが、前者は映画や書物などに描かれるキャラクターを指し、後者は実在する考えるもの、主に人間を指す。「人間性の空洞化」はロボットが「2 次元的メディア」と「3 次元的メディア」の融合でありそれと対話するために起きる、と考えることで、「人間性の空洞化」に対する解決策を提示したい。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 8 173-193, 2016-03

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

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