<論文> 彫刻家ジャコモ・マンズーの作品に見られる造形の特質について

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タイトル別名
  • <Research Paper> Features of Modeling in the Sculptures of Giacomo Manzu

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抄録

本稿はイタリアの現代彫刻家であるジャコモ・マンズーの彫刻に見られる造形的特質を明示することを目的とする。研究の方法として、まずマンズーに纏わる文献の調査を行う。その過程で得られた知識に基づいて彼の作品を実見し比較考察を行った。結果として、マンズーの彫刻作品の形態には人体の表現と衣服の表現に大きな差異が認められた。人体の造形表現について、初期の印象主義的な彫刻から後期にかけて形態の単純化や滑らかな表面処理による表現への移行が確認された。その理由として、マンズーは主題が持つ動勢や精神性を表現するために、彼が「しぐさ」と称する主題の内面を表す動作を表現しようとしていたのではないかと考察した。また、衣服の造形表現について、造形技法の違いによって生まれる造形の特徴を粘土による造形、実際に布を取り込んだ造形、板蝋を用いた造形の三つに大別して考察を行うことで、それぞれの技法によって表現される造形の特質を明らかにした。以上の考察を踏まえた結果、ジャコモ・マンズーは人体と衣服の表現に対して個別に造形技法を探究し、それぞれ異なった表現技法を組み合わせて制作することで多様な作品を生み出していたと考える。

収録刊行物

  • 芸術学研究

    芸術学研究 23 31-40, 2018-12

    筑波大学大学院人間総合科学研究科

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