<論説>第二次台湾海峡危機とアメリカ合衆国の台湾政策 : 一九五〇年代後半における台湾政策の変容をもたらした、歴史的ダイナミズムの解明に向けて (特集 : 海)

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タイトル別名
  • <Articles>The Second Taiwan Strait Crisis and U.S. Taiwan Policy : Towards an Understanding of the Historic Dynamism that Brought about the Alteration of Taiwan Policy in the Latter Half of the 1950s (Special Issue : SEA)
  • 第二次台湾海峡危機とアメリカ合衆国の台湾政策 : 一九五〇年代後半における台湾政策の変容をもたらした、歴史的ダイナミズムの解明に向けて
  • ダイニジ タイワン カイキョウ キキ ト アメリカ ガッシュウコク ノ タイワン セイサク : イチキュウゴ〇ネンダイ コウハン ニ オケル タイワン セイサク ノ ヘンヨウ オ モタラシタ 、 レキシテキ ダイナミズム ノ カイメイ ニ ムケテ

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抄録

一九五〇年半ば以降、中国共産党政権(以下、中国) に次第に接近する国際社会と対中封じ込めを堅持するアメリカ合衆国(以下、米国) との間の摩擦、そして、それと表裏一体をなす国民党政権(以下、国府) の、また国府を支える米国の国際的孤立は深刻化する一方であった。五八年晩夏に勃発した第二次台湾海峡危機は、かかる摩擦や孤立を「限界点」にまで悪化させ、米国は、台湾海峡での「分断固定化」―対中封じ込めと台湾の確保を中核的要素とし、海峡を含む極東地域の安定を目指す秩序―が崩壊しかねない事態に直面したのである。そこで米国は、国際社会における国府のイメージの改善と訴求力の向上により、上記の摩擦や孤立のさらなる悪化を防ごうとしたのであった。危機終息後、米国は、経済体制をめぐる国共間の争いにおいて国府を勝利へ導くことでその訴求力を更に高めるべく、台湾での経済成長の実現に注力し、そして、危機後のこうした新たな台湾政策は、六〇年代台湾における輸出主導型経済への転換を促す外在的誘因となったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (1), 141-177, 2017-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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