放出動詞の移動動詞用法について

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  • Verbs of Emission as Motion Verbs
  • ホウシュツ ドウシ ノ イドウ ドウシ ヨウホウ ニ ツイテ
  • Verbs of Emission as Motion Verbs

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抄録

ある音の放出を表す音放出動詞は,方向を表す前置詞句ととともに用いられると(i)のように移動動詞として解釈されるが,音を発するという点では同じに見える動物音声動詞や発話様態動詞は移動動詞としての解釈をもたない. (i) The cart rumbled down the street. (カートがゴロゴロと音を立てながら通りを動いていった.) (ii)*The duck quacked down the path. (アヒルがガアガアいいながら小道を進んでいった.) (iii)*He yelled down the street. (彼は叫び声を上げながら通りを進んでいった.) 本稿では,音放出動詞が移動動詞として容認され,(ii),(iii)にあるような動詞が移動動詞として容認されない理由を,生成語彙論で提案されている特質構造を検討することで明らかにする.そして,音を放出する物体と放出される音の存在を表す音放出動詞の特質構造の特性と本稿で「事象の特定性制約」と呼ぶ,「意味表示で表される活動は,特定の事柄のみに関与できる」という一般的な原理である「行為の連鎖」に基づいた制約でこの動詞クラスの移動動詞としての解釈が許されることを示す.

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