リグニン分解菌によるクラフトパルプ漂白廃液の処理に関する研究
書誌事項
- タイトル別名
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- Studies on the Treatment of Kraft Bleaching Effluents with Lignin-degrading Fungi
- Studies on the Treatment of Kraft Bleac
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抄録
上質紙の材料となるクラフトパルプには難漂白性のリグニンが残留するため,塩素系の薬品による多段漂白が必要である.この漂白廃液は強く着色しており,また微量ながらダイオキシン類を含むことが明かとなったが,塩素イオンを含むことから回収処理が困難であり,環境汚染源の一つとして問題となっている.本研究は,リグニン分解能を有する白色腐朽菌による漂白廃液処理の効果とその機構を明らかにし,実用化への指針を示したものである.まず,強力なリグニン分解能を有するIZU-154株を用いて,効果的な廃液処理プロセスの設定を試み,添加剤として糖類の共存下,ほぼ完全な廃液の脱色が可能であることを明らかにした.添加剤としては,グルコノ-$ delta $-ラクトンが最も効果的であり,その効果はリグニン分解菌に共通して認められることを示し,その機構は処理系内でのpHの微少な変化に基づく薗体表面の活性化によるものと推定した.さらに,より実際的な漂白廃液処理プロセスを構築するために,栄養成分要求性が極めて低い高活性廃液分解菌のスクリーニングを試みた.自然界より採集した1212点の腐朽材より,多数のリグニン分解菌を分離し,その中から,何ら栄養成分を添加しなくとも廃液のリグニンを分解する特異なリグニン分解菌であるKS-62株の単離に成功した.さらに,本菌株は漂白廃液の色度,化学的酸素要求量(COD)及び吸着性有機ハロゲン化合物量(AOX)を大幅に減少させうることを明らかにした.このKS-62株の菌体を固定化し,廃液の連続処理を試みたところ,微量のグルコースの存在下,長期間にわたって顕著な脱色とCODの減少が継続されることを認め,リグニン分解菌によるパルプ漂白廃液処理プロセス構築のための基礎的知見を明示した.
収録刊行物
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- 九州大学農学部演習林報告
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九州大学農学部演習林報告 73 61-134, 1995-12-28
九州大学農学部附属演習林
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キーワード
- 白色腐朽菌
- IZU-154
- カワラタケ
- 漂白廃液
- 脱色度
- 核酸類
- スクリーニング
- 吸着性有機ハロゲン化合物
- Manganese peroxidase
- 固定化菌体
- 連続処理
- white-rot fungi
- Coriolus versicolor
- bleaching effluent
- decolorization
- nucleic acid constituents
- screening
- adsorbable organic halogens
- manganese peroxidase
- additives
- glucono-δ-lactone
- immobilized mycelium
- successive teratment
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390853649692940416
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- NII論文ID
- 110001380262
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- NII書誌ID
- AN00055178
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- DOI
- 10.15017/10918
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- HANDLE
- 2324/10918
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- NDL書誌ID
- 3955115
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- ISSN
- 04530284
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可