消化器癌の網羅的遺伝子解析に基づいた分子標的治療の開発 : 遺伝子解析と抗癌剤感受性

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  • Development of a Molecular Target Therapy on the Basis of Global Gene Analyses of Gastrointestinal Carcinoma
  • ショウカキガン ノ モウラテキ イデンシ カイセキ ニ モトヅイタ ブンシ ヒョウテキ チリョウ ノ カイハツ イデンシ カイセキ ト コウガンザイ カンジュセイ

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抄録

癌の治療には,手術療法のみならず,化学療法,放射線療法などの補助療法を加えた集学的な治療が必要である.しかし,化学療法,放射線療法はすべての患者へ効果が一定しているわけではなく,実際の治療,特に化学療法には副作用が生じることがある.そこで,症例毎に応じたレジメンの決定や,薬剤の選択,新しい分子標的の探索を目的とした,いわゆる個別化医療の必要性が提唱されるようになってきた.当教室では,2003年から2年間にわたり,九州大学のP&P(九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト)より研究支援を頂き,「消化器癌の網羅的遺伝子解析に基づいた分子標的治療の開発」に関する研究を行なった.この研究では,まず,DNAマイクロアレイを用いて,網羅的な遺伝子解析を行ない,抗癌剤に耐性な細胞において,どのような遺伝子が高発現しているのか,また,転移しやすい細胞においてどのような遺伝子が高発現しているのかについて検討した.それにより,膵臓癌細胞株におけるゲムシタビン耐性に関わる遺伝子や,胆管癌細胞株における腹膜播種に関わる遺伝子なども同定された.その他にも,新しい分子標的を集約的に探索するため,抗癌剤によるシグナル伝達機構や,抗癌剤とDNAミスマッチ修復機構についての研究も行なった.例えば,新しい分子標的治療薬の標的分子としても米国などで注目を集めているシグナル伝達分子AKTが,抗癌剤による細胞死の抑制に重要な役割を果たしていること,また胃癌や乳癌では,そのシグナル伝達経路が持続的に活性化していることも明らかにした.

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