側弯症における大動脈位置と胸郭前後径の関係

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  • Aortic Location and Flat Chest in Scoliosis : A Prospective Study

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抄録

思春期特発性側弯症における脊椎及び体幹の変形は, 前額面での側弯のみでなくFlat chestや胸郭の回旋変形, そして大動脈の左方変位など複雑である. 側弯の原因を考える意味でも大動脈の左方変位が起こるメカニズムを明らかにすることは重要と考え, 特に胸郭回旋変形および胸郭前後径との関係について調べた. 方法 : 術前CTを撮影した22例の思春期特発性側弯症患者および対象群として健常人(他疾患スクリーニング目的CT撮影者)25例について計測を行った. 計測項目は, 大動脈の位置, 胸郭回旋角度, 胸郭前後径であり, それぞれCT画像上でT6からT11までの各レベルで計測し, それぞれの相関について調べた. 結果 : 側弯症患者ではT6 からT11全てのレベルにおいて有意に胸郭前後径が減少していた. 大動脈の位置はT6 からT11全てのレベルにおいて有意に後左方に変位していた. 各変数の関係を見ると, 胸郭前後径と大動脈左方変位に相関を認めた(r=0.49). また大動脈左方変位と胸郭回旋角度の間(r=0.52)および胸郭回旋角度と側弯Cobb角の間(r=0.61)に相関を認めた. 考察 : 胸郭前後径が小さい個体では, 胸郭内臓器の収まるスペースが減少するため心臓及び大動脈は正中から左側に押し出され, 椎体は逆に右側に押され, その結果として胸郭の回旋および側弯が 起こっている可能性があると考えた.

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