海馬の長軸に沿った機能的分化とその神経回路基盤

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  • 神野 尚三
    九州大学大学院医学研究院形態機能形成学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Functional Differentiation Along the Longitudinal Axis of the Hippocampus, with Reference to the Neuronal Circuits
  • カイバ ノ チョウジク ニ ソッタ キノウテキ ブンカ ト ソノ シンケイ カイロ キバン

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抄録

海馬は大脳辺縁系に属し,哺乳類の中枢神経系の中では最もよく研究されてきた領域の一つである.肉眼的には,ヒトの海馬はタツノオトシゴに似た独特の外観を呈する.海馬にはアンモン角という変わった名前で呼ばれている領域がある.アンモン角の由来は,古代エジプトのアメン神にあった羊の角に外観が似ていることによるものである.組織学的には,海馬は単純で美しい層構造を示し,入出力路が明確である.このため大脳皮質の神経回路の実験モデルとしての研究も多い.海馬の機能についての理解は,てんかんの治療や外傷によって海馬に損傷を受けた患者についての研究によるところが大きい.今日までに,記憶や情動などの高次脳機能に海馬が深く関わっていることが明らかにされている.本稿では,近年研究が急速に進展している海馬の長軸方向に沿った構造的・機能的な分化について概説する.さらに,海馬の構造的分化と可塑性に関する著者自身による研究成果をトピックとして紹介し,海馬研究の展望を示す.

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