放置年数の異なる森林作業道の路面凹凸とその発生要因

  • 増田 治美
    九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻森林環境科学教育コース森林保全学研究室
  • 篠原 慶規
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座森林保全学分野
  • 久保田 哲也
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座森林保全学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Unevenness and its occurrence factors on skid trails with different years of abandonment
  • ホウチ ネンスウ ノ コトナル シンリン サギョウドウ ノ ロメン オウトツ ト ソノ ハッセイ ヨウイン

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抄録

近年,森林管理における路網の重要性が見直されてきており,その整備が進みつつある。しかし,作業道において,長期的な路面侵食量やその要因を調べた研究はほとんどない。そこで本研究では,放置された年数や地形条件などが異なる福岡県内の作業道7路線を対象に,各路線で8~25横断面,計101横断面で,路面凹凸を計測し,平均侵食深(d_<ave>)と最大侵食深(d_<max>)を算出した。各路線のd_<ave>の平均値(D_<ave>)は,比較的放置年数が長い路線では,放置期間が長い方が,その値は大きくなる傾向があった。これは,放置期間の総降水量の影響を強く受けているためであると考えられる。また,路線内で各横断面のd_<ave>の違いを生み出す要因を調べたところ,比較的放置年数が長い路線では,各横断面の路面傾斜とd_<ave>の間に正の関係が見られた。これらの路線においては,路面傾斜と年平均d_<ave> (d_<ave>/放置年数)の関係に大きな違いが見られなかった。このことから,長期的に見ると,年平均の侵食量は,作設方法によらず路面傾斜によって一義的に決まる可能性がある。今後は,異なる地形・地質学的条件,気象条件の場所で同様のことが検証されることが望まれる。

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