福岡市近郊総合病院において実施された定期訪問による感染症コンサルテーション

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  • 鄭 湧
    九州大学大学院医学研究院病態修復内科(第一内科)
  • 崎田 大輔
    福岡和白病院感染制御部
  • 甲斐 健一
    福岡和白病院感染制御部 福岡和白病院内科
  • 井上 哲
    福岡和白病院感染制御部 福岡和白病院薬剤部
  • 下田 慎治
    九州大学大学院医学研究院病態修復内科(第一内科)
  • 下野 信行
    九州大学病院グローバル感染症センター
  • 中島 淳博
    福岡和白病院心臓血管外科
  • 赤司 浩一
    九州大学大学院医学研究院病態修復内科(第一内科)

書誌事項

タイトル別名
  • Periodic Infectious Disease Consultation with a Visiting Specialist in an Urban General Hospital in Japan

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抄録

入院患者に対する感染症コンサルテーションの重要性が増しているなか,感染症専門医不在の病院における感染症コンサルテーションについては情報が少ない.我々は定期訪問による感染症コンサルテーションの経験について報告する.福岡市近郊の総合病院(369 床)において,毎週金曜日訪問の感染症コンサルテーションが実施された.2017 年6 月から2018 年5 月までにコンサルテーションを受けた患者の診断,治療,予後について解析された.期間内に110例のコンサルテーションを認めた.院内感染症例は約40%(40/110)を占めたが,外科医師からの症例が内科医師よりも有意に多かった(25/44 vs. 15/66,P = 0.0005).コンサルテーション前の血液培養の実施率は61.8%(68/110)であった.この内,胸部症例における血液培養の実施率(20/46,43.5%)は非胸部症例(48/64,75.0%)と比べて有意に低かった(P = 0.0008).抗菌薬治療におけるターゲット治療の実施率は,菌血症症例(30/34,88.2%)と比べて,非菌血症もしくは未確定症例(11/60,18.3%)において有意に低かった(P < 0.0001).110 症例の内,21 例(19.1%)でコンサルテーション後30 日以内の増悪(2/21)もしくは死亡(19/21)を認めた.定期訪問による感染症コンサルテーションの実施により,起炎菌同定及び適切な治療のために,微生物学的検査,とりわけ血液培養の重要性が明らかとなった.引き続きこの分野におけるデータ収集が必要とされる.

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