日本の科学技術イノベーションに関する政策過程の検討 : 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)を題材として

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タイトル別名
  • Japan’s Policy Process for Science, Technology and Innovation : A Case of Impulsing Paradigm Change through Disruptive Technologies Program (ImPACT)
  • ニホン ノ カガク ギジュツ イノベーション ニ カンスル セイサク カテイ ノ ケントウ  カクシンテキ ケンキュウ カイハツ スイシン プログラム ImPACT ヲ ダイザイ トシテ
  • ニホン ノ カガク ギジュツ イノベーション ニ カンスル セイサク カテイ ノ ケントウ : カクシンテキ ケンキュウ カイハツ スイシン プログラム(ImPACT)オ ダイザイ ト シテ

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抄録

近年、日本では科学技術イノベーションに関して「選択と集中」と称される大型研究プログラムが多く展開されている。しかし、それらの制度設計や政策過程に関する批判も多く、ある政策の教訓が新たな政策に活用されるという政策サイクルが適切に回っているかどうかの検討が求められている。ところが、日本の大型研究プログラムの政策過程を検討した先行研究は乏しく、その制度設計や政策過程を議論することは難しい。本研究では日本の科学技術イノベーション政策における政策過程を明らかにするため、「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」(2014~2018年度)を題材として、文献調査とインタビュー調査からその政策過程を検討した。ImPACTは「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」(2009~2013年度)の後継プログラムとして立案・決定されており、その2つの関係性から政策サイクルを検討することができると考えた。結論として、ImPACTは先行プログラムであるFIRSTの利点をいくつか継承していた。また、変更が施された研究開発の仕組みに関しては立案時の政権や産業界の意向といった政治的・社会的要因で説明できることが示された。これらのことから、FIRSTからImPACTへの関係において、政策サイクルがある程度は機能していたと考えられる。一方で、未来のイノベーションの創出を目指す政策過程において当時の政治的・社会的要因が負に作用している点も示された。したがって、この種の影響をどのように反映させるかについては、「選択と集中」が推進されるべきかどうかについてと併せて、今後の課題として客観的根拠に基づく幅広い議論が必要であると考えられる。

収録刊行物

  • Co*Design

    Co*Design 9 1-29, 2021-01-31

    大阪大学COデザインセンター

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