書誌事項
- タイトル別名
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- A Note on the Concept of "Diary" and "Diary Literature"
- 「日記」および「日記文学」概念をめぐる覚書
- 「 ニッキ 」 オヨビ 「 ニッキ ブンガク 」 ガイネン オ メグル オボエガキ
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抄録
「日記」および「日記文学」の概念について、専門家諸姉氏の参考に供するために若干の考察を試みる。第一に、今日のわれわれの考える「日記」の概念は、前近代の中国語には見られず、今日の中国で用いられている「日記」は、二〇世紀に日本の教科書類からひろがったものとされている。中国古代においては、皇帝に差し出す上奏文に対して、いわば私人が、日々、記し、また文章を収集編集する作業がすべて「日記」である。すなわち、そのなかで、ジャンルの区別はなかった。日本古代にも、この用法が伝わっていた可能性は否定できない。業務の記録や備忘録の類とはちがう、われわれが今日、「日記」と考える内面の記録をかねた形態は、日本の二〇世紀前期に入って、イギリスの社会運動家、ウィリアム・モリスの「生活の芸術化、芸術の生活化」というスローガンのもとに、庶民や児童に日記を進めることが行われ、学校教育にも取り入れられて盛んになったものと考えてよい。 また、「私小説」「心境小説」論議が盛んになったことを背景に、古典のカテゴリーとして「日記文学」という言葉を初めて用いたのは、池田亀鑑「自照文学の歴史的展開」(『国文教育』一九二六年一一月号)、書名として使用されたのは、池田亀鑑『宮廷女流日記文学』(一九二八)であろう。それらで「日記文学」の特徴として「作者の心境の漂白」があげられていることが、すでに明らかにされている。
収録刊行物
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- 日本研究
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日本研究 44 425-443, 2011-10-23
国際日本文化研究センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390853649700771328
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- NII論文ID
- 120005681437
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- NII書誌ID
- AN10088118
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- ISSN
- 24343110
- 09150900
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- NDL書誌ID
- 023208677
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可