無脳症児をめぐる医学的・倫理的・社会的・法的諸問題

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タイトル別名
  • The Medical, Ethical, Social and Legal Issues concerned Anencephalic Infants

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説明

無脳症児は、破壊的で識別できる神経学的奇形であり、大脳半球は通常、欠損している。近年、諸外国では、移植可能な乳児の臓器不足を背景として、無脳症児の臓器の利用について議論されている。本論では、まず、無脳症児を臓器移植のドナーとして推進する立場について概説する。第1の見解は、胎児の先天奇形を理由とする人工妊娠中絶が許容されることを、その理論的根拠とする。第2の見解は、”摘出アプローチ”である。これは、生きている無脳症児を臓器提供者として利用しようとするものである。第3の見解は、”干渉アプローチ”である。これは、全脳死に至るまで、臓器の状態の悪化を回避する方法である。次に、無脳症児の臓器の利用に反対する立場について述べる。この見解は、2つの論点に集約される。すなわち、「人間の生命の尊厳」と「すべり坂論」による主張である。加えて、フロリダ最高裁の事例を紹介し、無脳症児の性質をめぐる医学的・倫理的・社会的・法的論点について検討する。

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