<論説>日本近代都市における水利事業の展開と慣行水利権 : 琵琶湖疏水鴨川運河における「伊藤水車」の水力使用をめぐって

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タイトル別名
  • <Articles>The Development of Water-Rights Projects and Traditional Water Rights in the Modern Japanese City : A Consideration of the Hydraulic Usage of the Itoh Waterwheel on the Kamogawa Canal Section of the Biwako Canal
  • 日本近代都市における水利事業の展開と慣行水利権 : 琵琶湖疏水鴨川運河における「伊藤水車」の水力使用をめぐって
  • ニホン キンダイ トシ ニ オケル スイリ ジギョウ ノ テンカイ ト カンコウスイ リケン : ビワコ ソスイ カモガワ ウンガ ニ オケル 「 イトウ スイシャ 」 ノ スイリョク シヨウ オ メグッテ

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抄録

従来、日本の近代における水利について論じる場合、その多くは農村における灌漑用水が主であり、都市において論じられることは稀であった。本稿で考察する琵琶湖疏水事業は、一八九一年に開始された京都市営の水利事業である。その用途は灌漑用水のみならず水力、電気、舟運等に及ぶ多目的水利事業であり、事業開始以来、京都の近代化を牽引してきた社会資本であった。本稿ではその中でも、鴨川運河から引水使用した精米水車業の「伊藤水車」の水力使用に注目した。大正期以降の京都市の経済発展の進展に伴い、琵琶湖疏水事業の重点が水力・舟運から電気に移行していく過程で、一九二〇年の使用条例の改正を機に、京都市は、鴨東地域南部の地域名望家、伊藤庄兵衛等が近世以来の慣行水利権を根拠に認められ続けてきた疏水の特権的使用に反対し、両者の論争のうえ最終的に特権が否定され、使用料の公平化が実現し、近代都市における「市民的公共関係」が成立する過程を解明している。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (2), 303-337, 2017-03-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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