A Study of The Desires and Experiences of Wounding Oneself or Others.

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  • 自傷・他害の欲求と経験に関する臨床心理学的研究
  • ジショウ タガイ ノ ヨッキュウ ト ケイケン ニカンスル リンショウシンリガク テキ ケンキュウ

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本研究の目的は、自傷・他害の形成過程について、親子関係及び心理的要因に焦点を当てて調査・検討することである。自傷・他害は、その方向性が大きく異なるとはいえ、いずれも「生命を傷つける」という点で共通しており、そういった現象の背後には「生」に対時する「死」への力が働いていることが推測される。そこで、EFromm(1965)の「生への愛好(バイオフィリア)・死への愛好(ネクロフィリア)」の概念に注目し、彼の記述に基づいてバイオフィリア・ネクロフィリア尺度(BP・NP尺度)を作成した。さらに、質問紙法を用いてBP・NPと親子関係及び自傷・他害との関連を検討した。その結果、自傷と他害の間には正の相関があり、それらは相補的な関係にあるのではなく同時に存在する傾向にあると考えられた。さらに、両親の情緒的支持が低く統制が強い場合、つまり両親が処罰的・支配的で愛情に欠けている場合、子どものネクロフィラスな傾向が強まり、自傷・他害に至る可能性が高いことが明らかとなった。また、両親の情緒的支持は子供のバイオフィラスな傾向を育て、そのような子供には自傷・他害の発生が少ないこともわかった。以上より、臨床的には、クライエントが情緒的支持や暖かさを感じられるような母性的ケアを中心とすることが自傷・他害の治療に有効であることが示唆された。

Journal

  • 大阪大学教育学年報

    大阪大学教育学年報 6 301-312, 2001-03

    Department of Education, Graduate School of Human Sciences, Osaka University

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