戦後日本における障害児保育の展開 : 1950年代から1970年代を中心に

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タイトル別名
  • The Historical Development of Childcare for Children with Special Needs from the 1950s to the 1970s in Japan
  • センゴ ニホン ニオケル ショウガイジ ホイク ノ テンカイ 1950ネンダイ カラ 1970ネンダイ オ チュウシンニ

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抄録

1950年代から1960年代中ごろまで、障害幼児に対する保育の場は、いずれも不十分な状況にあった。なかでも、特殊教育諸学校幼稚部は、1950年代、1960年代を通じて設置が進まなかった。この状況を受け、1960年代始め頃から療育施設での幼児に対する療育が徐々に実施される。そして1960年代後半には、各地で障害児を持つ母親らによって自主保育が開始され、また、ほぼ同時期に、ごく一部地域における一般の幼稚園・保育所でも障害児保育が実施されるようになる。1970年代において、特殊教育諸学校幼稚部の設置は、依然として十分に進まなかった。一方、療育施設や一般の幼稚園・保育所では障害児保育に対する制度的な保障が受けられるようになり、障害幼児のための保育の場が確保されることとなった。1950年代や1960年代に障害幼児の保育の場が十分でなかったことを踏まえると、この出来事は大きな前進であるといえる。しかし実際には、重度の障害児は療育施設へ、軽度の障害児は一般の幼稚園や保育所へという障害の程度による水路付けが行われていた。

収録刊行物

  • 大阪大学教育学年報

    大阪大学教育学年報 16 173-180, 2011-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科教育学系

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