デューイの習慣概念

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タイトル別名
  • Dewey's Concept of Habits
  • デューイ ノ シュウカン ガイネン

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抄録

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デューイは、「習慣」という概念を人間性の基本的な説明原理であると考える。デューイにおいて習慣概念は、精神的活動と身体的活動との相互作用、そして人間と環境との相互作用によって説明される。習慣は、単なる反復や順応にとどまらない。習慣の再構築の過程で、環境を適応的に調整すると同時に、各個人の独自性が発揮され、新たな行動が創出されもするのである。常に再構築の過程にある習慣は、一般的には対立するとされる概念を相補的にとらえることを可能にし、内と外、精神と身体といった二項対立を乗り越える契機となる。このような習慣概念を基底とするデューイの中道的自然主義は、自由意志論と決定論、そして絶対主義と相対主義という伝統的な対立を調停し、新しい世界観を切り拓く。そうした世界観においては、人間は常に連続的循環の中に在り、そのことによってはじめて自由と成長が保障される。これまでデューイの自由観や成長観は、相対主義的で目的を持ち得ず、理想を追求し得ないという批判にさらされてきた。しかし、彼の習慣概念を基底とする自由観、成長観は、二項対立を調停するのみならず、こうした批判にも答えるものである。

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