雑誌『赤い烏』における戦争観 : 創刊一九一八年から休刊一九二九年までの傾向

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  • ザッシ 『 アカイ トリ 』 ニ オケル センソウカン : ソウカン イチキュウイチハチネン カラ キュウカン イチキュウニキュウネン マデ ノ ケイコウ

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抄録

『赤い烏』の掲載作品で戦争観が強く表れている作品は、戦争や軍人を肯定する作品が六作、否定する作品が二三作であった。肯定派の作品には、軍人の勇敢さや冷静さなど、軍隊の良い部分のみを取り上げているという傾向がある。その一方、否定派(反戦)の作品は、戦争の危険性と残虐性について述べるものが多い。第一次世界大戦を題材にし、戦争の存在意義を読者に問いかける作品もある。 一九三〇年代を目前に控えながらも、子どもに戦争の真実を教えることを変わらず貫いた可これは、自分の作品以外に『赤い烏』執筆者の作品にも手を加えていた主催者・鈴木三重吉が、戦争に関しては実に中立な視点を持ち、その上で戦争の悲惨な真実を伝えていたことに要因があると考える。このように、『赤い鳥』は戦争観においても、子どもに対する教育的姿勢を忘れずにいたことから、教育者に求められる指導書になり得たのである。

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