『放浪記』から見る林芙美子像の変遷 : 映画・演劇を視座として

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  • 『 ホウロウキ 』 カラ ミル リンフビコゾウ ノ ヘンセン : エイガ ・ エンゲキ オ シザ ト シテ

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抄録

林芙美子は、一生を通じて社会の底辺に生まれ、つつましく暮らす市井の人間たちを愛し続けた作家である。貧しいからといって絶望することはなく、むしろ「貧しさ」を当り前の日常として小説の中に組み込み、ときにはユーモラスに描いた。芙美子自身、関東大震災を体験し、戦争を直視し、そして戦後の混乱期を肌で感じ、いくつもの波乱を乗り越えてきている。苦難の日々を自分のカで生き抜いてきた強い女性だ。さまざまな底辺の女性たちを描き続けてきた林芙美子の小説には、現代に生きるわれわれにも通じるものを見出せるだろう。その一つとして、『放浪記』がある。林芙美子『放浪記』は、森光子が主演した演劇として余りにも有名である。しかし演劇だけかと言うとそうではない。過去、映画やテレビにもなっているということだ。私は過去に何度も映像化されていたことに興味を持った。現在の視覚化された『放浪記』と昔の視覚化された『放浪記』では、何処がどう違うのか。また映像化されたことで、人々が持つ芙美子の印象に変化はあるのか。これらをこの研究で解き明かしていく。

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