P-サイメンの硝酸酸化について

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タイトル別名
  • Oxidation of P-cymen with Nitric Acid
  • P-サイメン ノ ショウサン サンカ ニ ツイテ

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抄録

type:Article

The liquid phase oxidation of p-cymen with nitric acid, to terephthalic acid, material of synthetic fiber, "Terylene" was studied. In previous reports generally P-cymen was added drop by drop to heated nitric acid but in this report nitic acid was added to heated P-cymen with frequent stirring and produced water in the reaction was removed by ingenious apparatus. Consequently the yield was increased and consurnption of nitric acid was decreased.

合成樹脂,合成ゴム,合成繊維等高分子化合物の原料は石炭,石油,アセチレン等を資源として合成される事が多いが,我国に於いては石油系原料は殆ど輸入に依っている。又石炭石油等の地下資源は集中して理戯されていると云う長所があるが,地域的に偏在し埋版量に限度がある。此れに比して木村等の天然資源は水と太陽エネルギーに依り年々補給されると云う長所があるから,此等植物資源が合成原料としての道が開ければ,高分子化学発展の為めに又原料難緩和の為めに役立つものと考えられる。P-サイメンは此様な木材資源から亜硫酸パルプ製造の際,副産物として回収出来るが適当な用途の無いままに流棄されている。併かし既に化されたベンゼン誘導体であり,此の点に着目して新しい利用面が見出されれば,我国の様なエチレン資源の之しい国で有機合成化学工業の原料として非常に有効である。P-サイメンは松其他の針葉樹を原料として亜硫酸パルプを製造する際,原料材中に含有するピネン,ジペンテン等精油分が蒸解過程でP-サイメンに変化し,80%前后の合有量を有する粗サイメン油として分離する。その量は文献に依り一定でないが,パルプton当り1~3kgと云われているから年間2000ton内外の生産が見込まれている。又堤氏に依れば石油クラッキングに依るプロピレンと,プラットフォーマーより得るトルエンとより好収量でP-サイメンが工業的に供給されると云はれている。又テリレンは最も有用な合成繊維であるが其の主要原料のテレフタル酸の合成にはP-キシレンの酸化に依って来たが,著者等は上記のP-サイメンを採り其の酸化に依りテレフタル酸を得る目的で本研究を行った。

identifier:富山大学工学部紀要,10(1/2), Page 31-35

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