真鍮の高温酸化について

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タイトル別名
  • On the Oxidation of Brass
  • シンチュウ ノ コウオン サンカ ニ ツイテ

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抄録

type:Article

The two important phenomena to direct the oxidation of brass are the selective oxidation and volatilization of zinc contained in brass. In this report, the oxidation rate of brass was measured in various atmosphere to consider these phenomena. As the results of investigation, it is cmfirmed that the selective oxidation is affected by partial pressure of oxygen in atmosphere, and the dezincification depends on protectability of oxide layer and diffusibility of zinc in atmosphere.

真鍮中の亜鉛の選択酸化性は真鍮の耐酸化性を左右するという意味で,真鍮の高温酸化を規制する主要な条件であることは云う迄もない。従って従来も真鍮の高温酸化については主としてこの点から検討が行われている。しかしながら真鍮の高温酸化を取扱う上には猶今一つの条件として,真鍮中の亜鉛の可成り大きな蒸気圧を考慮に入れる必要がある。というのはこれが揮発による脱亜鉛現象の原因となって,種々の欠陥を生成するからである。例えば通常の焼鈍過程でも,所謂red stainと称せられる欠陥は局部的な脱亜鉛現象に密接な関係を持つと考えられ,又所謂光輝焼鈍では問題は更に重要になる。即ち酸化皮膜の生成を祖止する条件は,又揮発による脱亜鉛にとっても極めて好都合なものであって,この相反する二つの現象を同時に防止することが極めて困難になるからである。真鍮の光輝焼鈍が従来から難しいとされている一つの原因である。このように真鍮中の亜鉛の揮発現象はその選択酸化性と共に,真鍮の加熱効果を左右する主要なfactorであり,之等を規制する条件を検討することが,殊に光輝焼鈍を取扱う上に必要であると考えられる。かかる意味で本報では真鍮の酸化速度に及ぼす加熱雰囲気の影響を調べ,其等の結果から焼鈍過程に於ける真鍮中の亜鉛の選択酸化,揮発現象について二三検討を行った。

identifier:富山大学工学部紀要,10(1/2), Page 83-87

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