鉛精錬におけるコレクター相の生成条件について

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タイトル別名
  • On the Conditions of Formation of Speiss and Matte in Lead Smelting
  • ナマリ セイレン ニ オケル コレクターソウ ノ セイセイ ジョウケン ニ ツイテ

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抄録

type:Article

The relations between the smelting products in lead smelting and the content of As and S in the charge were presumed as Fig.3 from the equilibrium diagram of the system Pb-Fe_2As-FeS, upon some simple assumption. Availabilities of this diagram in actual process of lead smelting were also discussed.

スパイスやマットのごとき所謂コレクター相を熔融製錬に利用するに際しては,まず製錬の際にこれらの相が生成されるための条件を明確にする必要のあることは言うまでもない。殊に鉛製錬のようにコレクター相を粗金属と共に生成せしめる場合には,これらの問題は一層重要となる。今日最も一般的な鉛の製錬法は原理的には所謂熔焼還元法と呼ばれるもので,硫化鉛鉱を賠焼によって一たん酸化物とし,これを還元剤と共に炉内で還元陪融して粗鉛をつくる方法である。かつこの際原料中に他の有価成分が比較的多量に含まれる場合には,これらを回収するために熔焼条件を適当に調節することによって,焼鉱中に適量のSないしはAsを残留せしめてマットあるいはスパイスをつくり,Cuのような成分はマットへ,Ni,Coのような成分はスパイスに濃縮して回収する。したがって製錬に際してマットあるいはスパイスを生成せしめ,また生成せしめないためには,焼鉱中に残留するSおよびAs量をいかに調節すればよいかが実際上大切な問題となる。原料中のSおよびAs量とマットおよびスパイスの生成との関係に対しては,鉱石の種類,熔焼の方法,製錬条件などにもとづく種々の因子が影響することは明らかであるから,実際には多くの経験にもとづく知識を必要とするものと思われるが,本報では熔融鉛,スパイスおよびマット間の平衡の基礎系であるPb-Fe_2As-FeS系の平衡関係を適用してこれらの問題について若干の考察を試みる。

identifier:富山大学工学部紀要,15(1/2)

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