第139回東邦医学会例会教育講演:心筋架橋による心筋梗塞の発生

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  • キョウイク コウエン(ダイ139カイ トウホウ イガッカイ レイカイ) シンキン カケハシ ニ ヨル シンキン コウソク ノ ハッセイ

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抄録

type:TOHO University Scholarly Publication

総説

心筋架橋(myocardial bridge:MB)は,冠状動脈の走行途中の一部を心筋組織が被覆する解剖学的亜型である.MB は左冠状動脈前下行枝(left anterior descending coronary artery:LAD)に多く,その解剖学的特性(厚さ・長さ・開始位置)には個体差がある.心収縮期には,MB 自体の収縮によりLAD が圧迫され,血液の逆流が生じ,LAD 内血流の血行力学的変貌をまねき,同動脈の内膜硬化性病変の発生分布に影響する.すなわち,MB 開始位置より近位のLAD 内膜には粥状動脈硬化症の進展をみるが,MB 被覆部のLAD では逆にその発生・進展が抑制される.さらに,LAD 支配域の心筋梗塞剖検例の解析によると,MB は非梗塞例に比して有意に厚く長い傾向を示し,MB 入口より近位2 cm の位置のLAD 内膜に高度な内膜硬化性病変の集中が生じ,厚く長いMB は心筋梗塞発生の責任病変形成に寄与していることが判明した.本稿ではMB による心筋梗塞発生の機構について概説する.

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