詐欺被害防止のための取り組みの変遷と心理学の貢献可能性 : 米国における詐欺研究との比較を通して

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書誌事項

タイトル別名
  • A review of actions and psychological research to fight against scams in Japan : A proposal for future direction through Japan-US comparison
  • サギ ボウシ ノ タメ ノ トリクミ ノ ヘンセン ト シンリガク ノ コウケン カノウセイ ベイコク ニ オケル サギ ケンキュウ トノ ヒカク ヲ トオシテ
  • サギ ヒガイ ボウシ ノ タメ ノ トリクミ ノ ヘンセン ト シンリガク ノ コウケン カノウセイ : ベイコク ニ オケル サギ ケンキュウ ト ノ ヒカク オ トオシテ

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抄録

展望

本稿では、詐欺問題に関する日本の取り組みおよび、日本と米国の心理学的研究をレビューし、今後の研究や取り組みの方向性について議論する。特殊詐欺、特に振り込め詐欺は2000 年代前半より大きな社会問題となっているが、未だに有効な解決策は見出されていない。この問題を解決するためには、従来の法制度的な対策や広報啓発などの活動に加えて、人間の心理的メカニズムを考慮した対策を実施することが有効であると考えられる。しかし、国内において、詐欺を心理学的観点から研究したものは多くない。また、法執行機関との協力が得られにくいため、現実的なデータを得にくいという問題点もある。一方、米国においてはNPOや警察機関と協力した大規模な研究が行われてきており、有意義な知見が積み上げられつつある。さらに、近年では、詐欺研究のためにFinancial Fraud Research Center が立ち上げられ、その勢いは増しつつある。以上の先行研究を踏まえ本稿では、①民間企業、法執行機関などと協力した大規模な研究、②科学的検証を取り入れた振り込め詐欺対策の実施、③加齢に伴う認知機能の低下を考慮した研究および対策の3 点を、今後の国内の研究・取り組みの課題として提唱する。今後、以上のような観点からの研究・取り組みが増え、詐欺被害が減少することが望まれる。

収録刊行物

  • 対人社会心理学研究

    対人社会心理学研究 18 179-188, 2018

    大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室

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