認知症高齢者の攻撃性に対する赤ちゃん人形療法の効果

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タイトル別名
  • The effect of the baby doll treatment over a elderly dementia person's aggressiveness
  • ニンチショウ コウレイシャ ノ コウゲキセイ ニ タイスル アカチャン ニンギョウ リョウホウ ノ コウカ

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説明

背景 高齢化と共に、認知症高齢者は増加している。認知症高齢者のケアで難しいのは心理・行動症状への対応である。心のケアとしてさまざまな非薬物療法が試みられている。人形療法もその一環として位置づけられるが、研究はあまり進んでいない。 目的 心理・行動症状の攻撃性に視点をあて、赤ちゃん人形療法の効果を検証することを目的に介入研究を行った。 方法 介護老人福祉施設に入所している1組の認知症のある高齢者夫婦。主として、攻撃性を有する妻を対象に、1年間、赤ちゃん人形療法を行った。 結果 妻の攻撃性は、介入後1か月頃からなくなり、夫に対する不満や嫉妬心は介入後4か月から徐々に軽減し、その後はなくなった。それだけでなく、夫を思いやる言動が見られるようになった。そして、介入後6カ月が経過した平成22年1月末から夫婦が同室で生活できるようになった。 結論 赤ちゃん人形療法により攻撃的言動は減少した。その要因として、以下のことが示唆された。1.認知症高齢者が、赤ちゃん人形に自分の気持ちを投影し、そのことで安心感を得ることができる。赤ちゃん人形は認知症高齢者の心理の移行対象となっている。2. 赤ちゃん人形療法に対象者の状況に合わせた方法を取り入れると相乗効果が得られる。3. 赤ちゃんの特徴である、可愛さ、小さい、柔らかさは笑顔を誘い、これが快の感情を優位にし、気持ちの安定につながる。

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